計量計測技術者教育研修講習会

日時 平成16年2月5日(木)
場所 チサンホテル新大阪 4F

研修次第
1.計量計測と品質システム
   日高計量事務所 日高 鉄也
ISOの基本は、ISO 1000(SI)メートル法
国際規格システム
 ISO9000
・要求事項
 @品質マニュアルの作成
 A計量管理規定の作成
 B手順書の作成
 C記録(管理台帳)の作成
 Dトレーサビリティの確立
 E計測器の校正
 F計測器の適正な取り扱い、保守、保管、損傷および劣化しないこと。
 G不合格計測器の使用による影響調査・記録
 Hその他品質マネジネントの継承的な改善を達成するために必要な処置

 ISO・IEC 17025(試験・校正)
製品(商品)を納入する時に試験・校正成績書が国際規格に認定された機関で発行された
ものを示す。
ISO 14001
TS/16949
ISO 10012 計測管理システム
 ・ISO 9001(16949)の計量管理に関する要求事項(7.6監視機器および測定機器の管理)を
実行する場合に参照する規格

実務の場合
http://www.nite.go.jp/asse/jcss/index.html

河原計量技術コンサルサント     河原 紀男
ISO/IEC 17025(試験所および校正機関の能力に関する一般要求事項)
   品質管理・計測管理・トレーサビリティーの基礎知識の為の解説
1.適用範囲
  試験・校正を実施するすべての組織に適用
2.品質管理システム
  ISO 9001S
  7.6監視機器および測定機器の管理
    トレーサビリティーの確立
  ISO/ts 164949
7.6.3 試験所要求事項
     内部試験所
     外部試験所
4.管理上の要求事項
 4.1組織
  ・法律上の責任を維持できる存在であること。
  ・試験所・校正機関の必要事項
   技術面の要員。
   内部および外部的圧力を受けない。
   依頼者の機密情報・所有権の保護
   品質に影響する業務の管理、実施・検証にあたる要員の責任・権限、相互関係を明確にする。
5.技術的要求事項
 5.1 一般
  校正機関の信頼性を決定する要因(詳しくは計量計測実務マニュアル参照)
   ・人間の要因
    教育・訓練、技能の記録および資格化
   ・施設および環境条件
    試験・校正が適正に出来るようにする。
    不適当な場合は、試験・校正を中止する。
    
   ・試験・校正方法および方法の妥当性
    適正な方法・手順を用いること。
    校正機関および自身で校正する試験所は、自らで開発したものは、妥当性を担保
    測定の不確かさを推定する手順を持って適用する。

   ・設備
    必要な設備・機器を所有(占有して使用できる)
    所有以外の物を使用する場合、要求事項に適合しているもの
    誤った取り扱い、欠陥を持つ測定器は、使用しない。
また、過去の使用につて影響を調べ、不適合処置する。
    必要なものは、校正した日、有効期限を識別表示する。

   ・測定のトレーサビリティー
    校正のため手順を持つ。
    SIに対してトレーサブル
    参照標準は、他の目的に使用しない(間違いのもと)
    調整する場合は、その前後で必ず、校正する。

    ・サンプリング
    試験または校正のため対象ので全体を代表と取り出すため、手法・操作を確立する。

    ・試験・校正品目の取り扱い
    品目の輸送・受領・取り扱い・保管・保留・処分のための手順
    品目識別のためのシステムを持つ
   ・試験・校正結果の品質管理
    試験結果・校正結果の有効性を監視するための手順
    統計的手法を使用する。
   ・結果の報告
    校正機関は、校正結果を正確に」、明確に、曖昧でなく、客観的に報告する。
   ・試験報告書・校正証明書
    追加分
     適合・不適合表明
     推定された不確かさに関する表明
     意見および解釈。その根拠の文章化
     測定がトレーサブルであることの証拠(参照標準の引用)
   

3.不確かさ(入門編) 
    (独)産業技術総合研究所    秦 勝一郎

1)計量管理概論の統計の基礎
  ・正規分布とt分布
    確率密度関数
  ・データーの平均値と分散(ばらつき)  
    平均値と分散の加法性
  ・平均値の分散(ばらつき)
    正規分布に近づき、平均値のばらつきは、
     データー/ルートN
  ・中心極限定理+大数の法則
  ・誤差伝搬則
    不確かさも伝搬する
  ・区間推定(または95%信頼幅の推定)

  2)BIPM勧告
    実験不確かさの表現
  ・不確かさ成分の分類:評価方法による
     タイプA:統計的方法によるみつもり
     タイプB:それ以外
  ・タイプA成分の記述
     推定標準偏差Siおよびその自由度Vi 
  ・タイプB成分の記述
     標準偏差に準じた量Uj
  ・合成不確かさは、分散の合成方法により求める
     また、その成分は標準偏差の形で表す
  ・係数Kを乗じて総合不確かさ(拡張不確かさ)を求める
 
  3)不確かさ解析・表示が要求される場面
  ・試験所の校正や試験   :証明書や成績書の発行
  ・国際比較や共同実験   :結果の公表、比較
  ・研究論文や技術論文   :実験結果の数値表現
  ・取引や証明行為の文章  :校正・試験結果の報告
  ・工場内の計測管理状況  :確認文章の作成
  ・出荷製品の検査     :検査報告
  4)不確かさの定義
   測定の結果に付随した、合理的に測定量に結び付けられ得る値のばらつきを
特徴づけるパラメーター
  5)校正と補正値、器差
    校正の定義
    計量器の校正とは計量器の表示する物象の状態の量と計量器の標準となる特定の物象の
状態量との差を測定
    差=計量器の指示値ー標準の値
    補正値=試料平均−真の値
    偶然誤差=ばらつき
    系統誤差=かたより=母平均ー真の値
  6)不確かさ成分の推定および評価
   ・タイプA (統計的方法)  実際のデーターから度数分布
     データーの独立性を勘案し、平均値を求め、
     実験標準偏差(不確かさ成分)=s(Xi)
    
   ・タイプB  その他の方法による
     先験的(a priori)分布
      限界値から標準偏差を推定(分布形が分かれば推定できる)
   ・合成標準不確かさ
     Uc×Uc=各不確かさを2乗し、加法する
   ・拡張不確かさ
     U=K(包含係数)×Uc
      k=2(P=95.45%)