計量技術研修講座

日時 平成21年2月20日(金)
場所 薬業年金会館301
 
研修次第
  マイクロメーターの歴史から見る測定工具の将来像
            潟~ツトヨ グローバル営業技術部  商品戦略グループ  畝 修造

 身近に使っている測定工具の分野で、発明から現在までの変遷と現在の新しい技術の方向性
 マイクロメーター
  軸径や供試体の外形・内径などを測定する機器で、ノギスよりも精度の高い、
  正確な寸法が必要なときに用いる計測機器。
   ネジによる拡大機構を利用したハンドツール。
   (目量0.01mmまた、最小表示量が0,001mmでネジピッチ0,5mm)
  
   1772年 ジェーム・スワットが卓上式のマイクロメーターを発明
      U字形のフレームを持ったことが特徴
      0.014mmの最小読みとり
   1805年 モーズレイの卓上マイクロメーター 
      0.00254mm最小読みとり
   1885年 ウィットワースの精密測長機
      0.0254μm
   1868年 ブラウン&シャープ社がパリ万博から1年
      0.1mmのポケット式板厚測定器

   1890年 エリオット・ブラザー社
      0,0001mmインチ
   1915年 (米)スローコム社 メカカウンター付き
      0,001インチ

   1880年 ウオルサム社  ワイヤによる電卓機構
      0,001インチ
   1840年 ノギス バーニヤなし
       1mmの最小読みとり
   
計量制度 
  国が一元的に制度確保しなければならない、社会の根幹とも言える重要な制度
  単位が具体的にわかったので、次の世代に、引き継がれる。
 長さの基準
  メートルは、299,792,458分の1秒に光が真空中に伝わる工程の長さ
  光は1秒で、約3億m進む。
  光は1秒で、地球7.5週する。
  約3億m÷7.5=4000万m
  子午線の長さの4000万分の1は、1m
  地球を基本にして1mは、作られた。 

 日本でのマイクロメーターの歴史
  時代背景
  ・明治時代「自前の技術と力で国づくり」富国強兵策
  ・優れた海外商品の導入
  ・軍隊・鉄道省の大口需要
   1929年 津上制作所
      0.01mm
   1937年 ミツトヨ

   1940年 ムツキゴセイキ(大阪製)
      0.01mm
   1944年 三井精機工業
      0.01mm
  高精度
    0〜25mm機種 器差 ±2μm〜±1μm
  低価格
    エコノミー ¥12,500
  使いやすく
    重量 420g→270g
  長寿命
    3ヶ月(単5 3個)→1.2年(SR44)
  高性能
    防水機能,保護機能付き

 デジタル表示測定工具の検出原理
  静電容量方式
   透磁率の変化を受けやすい
  電磁誘導方式検出
   透磁率の変化が少ないため水、油の影響が少ない
   防水タイプが可能
質問
  1.その他の検出原理
    ・光回折格子(エルミッセンス)
    ・マグネスケール方式
  2.使用上の注意
    廻す感覚で,測定がばらつくが,メーカーの考えは?
    圧力が一定になるようなマイクロメーター
    ソフトタッチマイクロがある.
    使用上,角度.方向を一定にする.基点を合わせるテクニック(ラチェット3回)
  3.電磁誘導方式の第二スケールの波長信号は?
     少しのずれ

ISOとJCSSについて
分銅の製造から計量管理までの国際基準についての解説
                    椛コ上衡器 村上 昇
1.「はかり」と「分銅」
  ・キログラムの定義
    現在が、「国際キログラム原器」の質量である。
    今、50μg軽くなっていた? 
    昔は、最大密度(液音4℃)での蒸留水1Lの質量
    将来的には、ケイ素原子の質量で、検討中 

分銅の国際規格と国内規格
OIML(International Organization of Legal Metrology)国際法定計量機関
OIML国際勧告2004年からJISも変更

適用範囲
  分銅の使用用途
  ・はかりの検査時の標準
  ・下位の精度等級分銅の検査または校正時の標準
  ・はかりとともに使用
  1mg〜5000kg
計量要求事項
最大許容誤差 σm
拡張不確かさ
協定質量 mc=
なぜ密度測定が必要か?
体積分の浮力が生じ、重量が変わる。
体積の測定方法
  水中の秤量方法(アルキメデス法)

JCSSの校正証明書
 分銅の校正周期
  分銅の質量は変化する。
  校正周期は、自主的に決定してください。
  分銅の校正履歴を保管

ISO9001:2008年
 監視機器及び測定機器の管理
 使用する計量器が
  1.分銅で校正(自社JCSSの校正証明書)
  2.分銅で校正(外部JCSSの校正証明書)
  3.分銅で校正(外部JCSS登録業者に依頼)
 計量のトレーサビリティに適合
  基準器検査成績書には、要件を満たせど、計量トレーサビリティの根拠を与えるものでない

質問
1.協定値
  不確かさの範囲
  協定値の中に入っている
2.磁気帯
  再校正の際、磁気を抜く時がある
  磁気による「ばらつき」電磁平衡式の時