近畿計量大会

日時 平成28年11月18日(金)
場所 シェラトン都ホテル大阪


1.開会の挨拶
  大阪府計量協会 理事長 藤田眞弘
   京都や神戸など近隣に見所があり、大阪は、関西の窓口として、外国人観光客に活用されている。

2.来賓の挨拶
  経済産業省産業技術環境局計量行政局室長 吉岡 勝彦
   ・皆様の適正計量の感謝
   計量行政が滞りなく行っているのは、皆様のおかげです。
   多くの方々の計量管理
   地域の活動を継続する。
  ・11月1日計量記念日で計量表彰を行った。
   トヨタ会長・内山田氏が計量制度の重要性・育成は、重要であるとのお話をされた。
   11月は計量月間
  現状
   見直し:計量行政審議会を開催 
   1.民間事業者の参入の促進
   2.技術革新、社会的環境変化への対応
     IoT 等の技術革新への対応(特定計量器の構造基準の見直し)
     特定計量器への追加
      自動はかり 、水素燃料計量システム
   3.規制範囲・規定事項等の再整理・明確化等
     ① 計量証明事業 ② 特定計量器の使用等に関する運用 ③商品量目制度
     ④ 特殊容器制度 ⑤ 計量制度の運用
     
  大阪府副知事        新井 純
   大阪経済 足踏み 中小企業が多い大阪で 
   新エネルギー 新たなビジネス 資金・経営・運営サポート
 
 3.感謝状贈呈
  近畿計量協議会 副会長 川西勝三
  大阪医薬品協会 理事 事務局長 肥田 裕慈
  大阪計量士会  相談役 松浦 道裕 以下

 4.基調講演
   「計量制度の未来と計量協会の果たすべき役割」   日本計量新報社 社長 横田 俊英
   A、計量制度とは?
     ドイツの小話「1kgの筈のパンとバター」
     農家の老婆がパン屋の主人に訴えらた。
     老婆が1kgと称して毎日パン屋に届けるバターの目方は、850gほどしかないとのこと。
     しかし、老婆曰く、「立派な天秤を使って、黒パン1kgを買い、それを天びんの片方の皿にのせ、
     それと釣り合うだけのバターをもうひとつの皿にのせてバターの目方を量っている」
     ツジツマは、合っている。←トレーサビィリティがとれてない。
   B、計量制度が社会に果たす役割
   C,世界の計量制度と日本の計量制度
   D,計量制度は、国民の福祉向上のためにある
   E,計量制度における国の役割
   F,計量制度における地方公共団体の役割
   G,計量制度と計量機器事業者の連携
   I,計量法によって定められる計量制度と今後に変化
    a)現在進行している計量法の見直し
      ・自動はかりと非自動はかり
      (停まった状態で計量するか、動いた状態で計量するか)
      但し、「取引と証明」に関するはかりだけで、
      ポッパースケール充填用自動はかり、自動捕捉式はかり、コンベアスケールの4種類
      ・H29年4月公布予定 実施は、5年後
      ・「器差のみ検定する指定検定期間」・・・自動はかり対応
       構造検査等省かれ、基準分銅を載せて、器差のみを検定・・・計量士が望ましい(再教育)
    b)計量業務の実施体制の後退を阻止する法
    c)計量単位の定義
   K。国際分野の計量の動き
     国際度量衡がらみ、OIML?
     高速道路の自動計量は、OIMLの基準がない。↑

 5.記念講演
  テーマ1 弥生分銅ー国内最古の分銅と古代ユーラシアの計量資料
                                    大阪府立弥生文化博物館 総括学芸員 中尾 智行

    亀井遺跡から「弥生分銅」の発見



   大阪府の亀井遺跡から1981年 7月に発掘され、
   大半は円柱形もしくは楕円形をなす 11点の石製品群で、1点を除いて表面が光沢を持つほど磨かれている。
   これらは、弥生前期の「磨石」弥生前期の「磨石」と評価されていた。
   森本晋氏は、その形状と質量比に注目して、石製品群を“天秤に用いる「分銅」”と再評価
                                                                                                                                                        
   日本の「権衡」史
    計量用のおもりを示す「権」と、はかりの意味も併せ持る量を示す「衡」との熟語「権衡(けんこう)」は、
    質量を計測する計量具を示す。
    はかりについては、天秤・桿秤の種別が記載されてない。
    おもりについては、「権」が古く、「錘」も使われる。天秤権・桿秤権
   弥生分銅と計量起源
    磨石とされた石器群が、インダスやメソポタミアといった古代オリエント文明の遺跡から出土した
    分銅とよく似ている。また、その質量比が2 の累乗倍となっている。




  テーマ2 弥生分銅ー弥生時代の分銅の精密質量測定
    株式会社 村上衡器製作所 社長  村上 昇


  1.測定方法の検討
    分銅の精密測定は、等量比較法などの比較検定を行うが、弥生分銅は、組み合わせ分銅で行う。
    また、石製分銅とステンレス分銅は、材質密度が異なるため、空気浮力の補正を検討した。

  2.JCSSはかり校正
    
        ひょう量       目  量
 LE225D
(ザウトリウス)

    100g /200g
    0.01mg/0.1mg
 PJ300
(メトラートレド)
      300g          1mg


  3.質量測定
    ①磁性測定
      上記電子天秤は電磁平衡式である。重量測定における磁性の影響が問題視されていることもあり、
      ガウスメーターによる磁気分極の測定を行った。
      電子天秤の結果は、0.1μT~5.4μTとJIS規格・ E1級の限度値8μTを下回った。
      あわせて、石製分銅の磁気測定で資料Dが5.4μTと高くなった。
      資料Dは、他の資料と比べて研磨が不十分で、凸部分がガウスメーターに干渉した。
      再度、測定を行ったところ0.1μT~1.0μTとなり、E1級の限度値2.5μTを下回った
    ②質量測定
      ・LE225D
      A(8.7g)→確認分銅 10g→ B(17.6g)→ C(17.6g)→確認分銅 20g→ D(32.1g)→ E(34.5g)→ F(35.4g)→
      確認分銅 50g→ G(68.9g)→確認分銅 100g→ H(134.7g)→ I(139.8g)→確認分銅 200g
      ・PJ300
      確認分銅 200g→ J(276.5g)→ K(280.0g)→確認分銅(200g+ 100g)
      上記 3反復の測定を 1セットとして時間を開けて 3セット計 9回の測定を行った。

  4.測定値の数値処理
     ①石製分銅の密度推定
        密度の不確かさ10%
     ②質量測定の補正
      ・ゼロ点補正
      ・天秤による誤差補正
      ・空気浮力の補正
     ③不確かさ
      ・測定の不確かさ
      ・天秤の不確かさ
      ・空気浮力補正の不確かさ
      ・拡張不確かさ

  試 料      測定結果W  と 拡張不確かさU      報告された質量
     8.76063g  ±  0.00077g        8.7g
B     17.6487 g  ±  0.0016 g       17.6g
    17.6388 g  ±  0.0029 g       17.6g
    32.0608 g  ±  0.0044 g       32.1g
E     34.4645 g  ±  0.0028 g       34.5g
F     35.3896 g  ±  0.0034 g       35.4g
G     68.8843 g  ±  0.0067 g       68.9g
 H    134.705  g  ±  0.012  g      134.7g
   139.810  g  ±  0.013  g      139.8g
J    276.532  g  ±  0.023  g      276.5g
   280.170  g  ±  0.023  g      280.0g

   グラフにすると




    その質量比が2 の累乗倍の系列(約2 、4 、8 、16 、32 倍の重さ)になっている。


                          計量のHP