計量技術研修講座


日時 平成23年2月17日(木)
場所 薬業年金会館601
 
研修次第

T. コンピュータースケールの技術的展開と今後
                株式会社 イシダ 生産技術部 部長 河野 克彰

 イシダは、今年で創業117年とになり、世界の人々に喜ばれる様、世の中に必要とされる存在を目指している。
 世界にグループ企業がある。
 (イシダヨーロッパ、上海イシダ、イシダコリア)
 今後、生産から流通/消費までをトータルに提案し、データー通信を通じて、ネットワーク化を計量包装の発展を進めている。

 1.食品の分野別計量包装システム

  計量だけでなく、工場システムとして提案
  システムの連動部分で発生しがちなグレーゾーンを無くしたトータルシステム

    (イシダのHPより) <例 ポテトチップ>
 製造ライン
  ・入荷     
     原材料入荷、荷受け、保管 
  ・原材料処理工程
     泥除去、石除去、皮むき
  ・原材料の検査 
     トリミングコンベア
  ・生産工程
     スライサー、整列、ブランチャー(糖分除去)
     フライヤー
  ・品質検査工程
    色彩選別     X線チェッカー(検査)
    異物混入の検出 併せて金属検出機能を搭載
    シールチェッカー   製品にシールミスが無いか?
        併せて袋の厚みも測定
    統計計算
  ・搬送工程
   ファストバックコンベア ゆっくりと前へ送り、すばやく戻す水平運動の連続により、
               製品を優しく搬送し、割れ欠けを低減出来る。
               音が静か 
  ・味付け工程
  ・分配
  ・計量・包装工程
             計量機から包装機への受け渡し、信号のやり取りのタイミングなど
             継ぎの部分にグレーゾーンがない。
             10ヘッド(はかりが10個で20ホッパー)
  ・X線チェッカー検査 X線異物検出器併せて金属検出機能を搭載
  ・シールチェッカー  製品にシールミスが無いか?併せて袋の厚みも測定 
  ・重量チェッカー           
  ・箱詰め工程
  ・出荷

   小売り分野では、自動包装値付計量プリンター
   トレーパック商品用
   電子棚札と業務統合端末
   POS作成システムと計量器の連動

  2.自動はかり(組み合わせ計量機)
   はかりの歴史
   ・天秤〜上皿天秤
    人類が最初に作り出した計器
    1669年ロバーバルが上皿天秤
   ・不変敏感自動はかり
   ・昭和6年 自動はかり開発
    温度誤差が大きかった。
   ・電子秤の誕生
    1000分の1の精度が出来ない
   ・産業用自動計量機
    対面から事前はかりに変わって来るに従い、販売方法が変わってきた。
   組み合わせ計量器
    1972年 ピーマンを計量箱詰めの自動化
        コンピュータースケールを開発
    1980年 ロードセル計量により、デジタル化
   秤に用いられるセンサー
   ・リニアエンコーダ 物差しとなるスケール(目盛)と、位置情報を検出するヘッド(検出器)で位置を検出し、
    位置情報として出力する装置 
   ・差動トランス 1次側〜2次側動くことで電位差が出来る
   ・静電容量型  コンデンサーの極板のすきま変化に変えて電子信号を取り出す
   ・ロードセル   ひずみゲージ
     金属が圧縮されると抵抗は少なく伸びると大きくなる。 ΔR/R=k・ΔL/L
   ・電磁平衡式  重量がかかるとバランスがずれるが、そのずれた分を元に戻す力を測定
             (ゼロ位法)
   ・音叉式    音叉の振動
            加重をかけると周波数が変わる。200000分の1
 
   組み合わせ計量器
    @小分けにする
    Aはかる
    B組み合わせる
    C選択する
    D集める
   重量が大きくて、ばらついている品目に、データーを組み合わせるので、対応しやすい。
   利点 :落差誤差が少ない
      制御性が高い、データーの信頼性がが高い
   ・組み合わせ(10ヘッド)
    組み合わせ総数=1023
    10個のデーターからN個のデーターを選択すると
    N=1 10C1=10
   ・精度
    各ヘッドの精度
     計量センサーの精度
     過渡反応、外乱
     床振動補正
     外部振動でなぜ誤差が?
     フィルターで取りきれない誤差がでる。→AFVセンサー(床振動:HPE)をさっ引く
     組み合わせ精度
     被計量物の質量分布
     組み合わせ数
   →メモリー方式 
   →ヘッド数4割アップで効率2倍

 今後は、イシダが作った規格が世界標準へ!!

 Q&A
 1.水分を含む計量は?
   A.水分を含んで計量
     対流時間を調整する。
 2.ヘッド毎のオートゼロ
   A.自動のオートゼロをランダムでかけている。
    添加物の付着を少なく出来るような努力も必要。
 3.計量ヘッドの構造がわからないのだが?
   A.外からは見えない。密閉式
   
 4.計量ヘッドの検査 
   A.日常点検で、ホッパーに決められた物を載せてチェック
 
 2.湿度計測と管理     椛謌皷ネ学  山内一夫

  湿度 空気中に含まれている水蒸気という気体。一般的には、相対湿度を示し、%rhで表現
  水分 物質中に存在する水

  相対湿度=湿潤空気の水蒸気圧/飽和水蒸気圧×100

  飽和水蒸気圧 (JIS Z 8806)
   各温度で飽和する時の水蒸気圧
   温度で値が大きく変わる。
  露点温度
   空気中の水蒸気が結露する時の温度(零度以下の時は、霜点)
  過冷却 種が無い場合ー26℃まで凍らなかった場合もある。

  空気線図 (Wikiより)
  
  絶対湿度 単位体積の空気中の水蒸気と云う気体が何gあるか?
       水蒸気密度(g/m3)

 GMPの要求事項
   静電気対策(湿度が低くなると静電気が発生しやすくなる)
   ・とり除く、
   ・湿度を上げる
  クリーンルームの温度・湿度分布
    水蒸気量が同じなら温度が上がると湿度は下がる。
   温度が高い100付近は、露点温度の方が精度が出る。
  ドライルームの水分管理
   (リチウム電池製造・半導体リチウム電池製造、半導体製造、前工程)
   製造→鏡面冷却式露点計で水分管理

 湿度計の種類 長  所 短  所
 毛髪式湿度計  直読出来る 安い   反応が遅い・校正が一点
 板付きアスマン型湿度計  構造が簡単   安定に時間がかかる。
 電子式湿度計  連続運転や制御ができる。   センサーの劣化に注意
   高分子抵抗センサー   構造が簡単・大量生産が出来る。
 電極にアンモニウム塩などの添加物を含んだ
 感湿性高分子を塗布し,測定空気の水蒸気量で
 感湿性高分子中の水分含有量が変化する。
 温度依存性があるものが多く、
 温度補正が必要

 結露すると感湿性高分子内の添加物が
 溶け出す。
   静電容量式センサー  反応速度が早い・低湿度に優れる。
上部電極と下部電極の間に感湿膜(高分子感湿材)
がサンドイッチされ、この感湿膜が空気中の水分を
吸脱湿します。水分を吸脱湿することにより、上下電極間の静電容量が変化する。
 有機溶剤など比誘電率の大きいガスの
 もとでは、特性がずれる。
   抵抗式センサー  小型化で、アナログ。デジタルに加工出来る。
 
 相対湿度の低い0〜20%RHの範囲に
 於いては高抵抗になるため、
 相対湿度の検出が困難


 ・鏡面冷却式露点計
   遮光されたサンプリングチャンバーに計測空気を吸引し、その後、冷却し、結露の発生を光学系で検出し、
   鏡面上の結露が増えも減りもしない平衡状態になるように制御しながら、そのときの鏡面温度を測定。
   キャビティリングダウン分光分析装置(CRDS:パルスレーザー)がある。

 トレーサビリティに関して
 現場の測定機器が最終的に国家標準と切れ目のない連鎖によって校正されている。
 が「計量の場合」     
 不確かさがすべて表記された、切れ目のない比較の連鎖を通じて、通常は国家水準または国際水準である決められた標準に
 関連づけられ得る測定結果または標準の値の性質。


  湿度計の設定ポイント

  湿度の基準と管理


 Q&A

 電子式湿度計の劣化
  
 A.こまかい粒子で出来ているので表面粒子の影響は受けにくい。
    酸化性 還元性のガス
   OH基 水とアルコール高めに
   物理的化学的に吸着され真値より低めに