計量基礎セミナー
  
日時 平成21年6月12日(金)
場所 鞄津製作所 関西支社 阪急ターミナルビル14F
 
講師 鞄津製作所 分析計測事業部 品質管理課 針谷哲三

研修次第
T.正しく秤量するための方法について
                 
  最近の質量分析はデジタル式の天秤が多く使われています。
  しかし、表示されている値が正確に表示されるためには、天秤が、正しく校正されているか?
  いろいろ条件が整っている事が前提となっています。   
  1.質量計の種類と原理
    @機械式はかり
    A電子式はかり
     ・ロードセル式
      4枚のストレーンゲージを貼り付け、加重が加わると貼り付けた弾性体が変形し、電気抵抗が変わる
      但し、分解能が良くない
     ・電磁式はかり
      
      お皿に載せた物を電磁力で、釣り合わせ、コイルに流した電流値により測定する。
      重い重量には不適
      ロバーバル機構を採用することにより、四隅の誤差を少なくしている。
      フレミング左手の法則を採用して、流した電流の向きにより上向きあるいは、下向きの力を発生させる。
       F=2πrnBi 

  2.質量測定における誤差要因
     天秤
     環境
      ・使用地の違いによる影響
       重力加速度による差
        稚内 980.62273
        東京 979.76319
         重力加速度=引力ー遠心力 
         赤道は、半径が大きいので、遠心力が大きい
       重力の影響
         i(コイルに流す電流)を変更
      ・温度変化の影響
        重量検出部を構成している部材の熱膨張、マグネットの磁束密度、
        ひずみゲージの温度係数の変化による
        分解能が5桁 温度係数は、10〜20ppm
              7桁 温度係数は、 1〜2ppm
      ・空気密度の温度変化の影響
        1℃ 0.0041mg/cm3
         感量0.1mgの天秤に100mlのビーカーを入れた場合、2℃の変化で、
         T=100ml×0.0041mg×2=0.82mg
      ・気流・対流の影響
           2〜5mgの影響?
        設置場所の風の影響を受けないように風防をつける。
         風の流れがあれば、エアコンを切る
        試料の温度変化が対流を起こす。
        手を入れることで天秤内の温度変化→ピンセットを使用
      ・静電気の防止
         粉体やプラスチックは、静電気を帯びやすい
         STABLO(2wayイオナイザー)¥79,000
     設置環境に応じた設定
      ・標準モード
      ・耐震モード
      ・耐気流モード
       安定マークの確認して、環境により、選択。
     測定の用途に応じた設定
      ・はかりとりモード
        応答性を優先させた。(安定性が悪い)
      ・ゼロトラッキング
        ある閾値以内であれは、0なので、少量測定の場合は、注意を要す。
      ・動物モード
        生きた動物を測定 
     容器

  3.分銅の取り扱いの注意点
     ・素手触らない 手袋・ピンセット
     ・分銅に傷をつけない
     ・保管に注意
     ・JCSS分銅の校正は、?
     分銅のクラス分け
      協定質量(20℃ 空気密度1.2/m3において8,000/m3の密度も持つ分銅とつり合ったときの質量)
      の最大許容誤差によって、E1〜M3
  4.天秤の
    ・日常点検
     お皿が汚れていないか
     デジタル表示の動きに異常がないか
     スパンは
    ・定期点検
      繰り返し性
      編値誤差
      直線性 1/4づつ
      場合により、ドリフト、ヒステリシス、内部分銅校正
     等級AA 島津が決めた
    ・校正(キャリブレーション)
     校正の定義
      計量器の校正とは計量器の表示する物象の状態の量と計量器の標準となる特定の物象の
      状態量との差を測定
        差=計量器の指示値ー標準の値
    

  5.JCSS分銅と不正確さ
    ・トレーサビリティー
     測定結果が国際または国家標準の様な適切な標準に対して切れ目のない比較の連鎖によって
     関連付けられる性質
      国家標準にたどり着ける
      不確かさ 島津は、包含係数2
    ・はかり不確かさ
    JCSSの校正証明書
  
  6.はかりJCSS(Japan Calibration Service System)

U。電子天秤の使い方(実習)
 1.感度調整
   重さを検知して、それに比例するコイル電流を発生させる装置
   そのとき、質量とコイル電流の関係を調べて、
     記録する「感度調整」により、使用可能
    ・水平調整
    
     新たな感度調整
     質量とコイル電流の関係も変わるので、やり直し
       据え付けが変わると
       温度が変わると
       温度変化があると

  


 2.環境や測定目的に応じた使い方
    設置環境

  3.点検方法
    ・定期点検
      繰り返し性
      編値誤差
      直線性 1/4づつ
     点検公差は、使用者がその天秤に要求する精度に従って決める。
     同じ天秤でも公差が違うことがある。

  4.取り扱い

質問
1.0.1mgのはかり方
2.耐震モード
  低周波モードは、無いのでしょうか?  また、防御策は?
  <A>
  .なかなか難しい。
  地震の余波により、電磁波が流れ、天秤が揺れた事がある。
3.Pcalの内部分銅が狂ってきた時、
  粉が詰まった時、
  直線性が狂った時
  <A>.
  ECALで、矯正し、calをする。(外部標準分銅校正)
4.不確かさ
  校正した物が不合格になったら?
  <A>
    繰り返しが悪いーー何かが接触している
    コイルとマグネットに毛ぼこり(物)が落ちている。ーーーゼロが戻らない
    四隅誤差ーーー?
    直線性ーーーフルスケールがあっているが、途中狂っている
     マグネットの特性、
5.器差の協定値と測定値真の値は?
  天秤誤差?
  <A>
  .不確かさを求めている
6.定期点検
  <A>
   .繰り返しの回数 5〜10回目安?
   300kg 20kg×5 3回?
  四隅
   組み立てと部材がずれるでバランスがずれる場合がある。
   四隅誤差が大きい時、
7.自動校正がかかり再測定の場合が有るが?
  <A>
   A.CALBの際、メッセージが出る