メタボリックシンドローム(metabolic syndrome、代謝症候群とも)

「メタボリック」とは〈代謝〉、「シンドローム」は〈症候群〉という意味で、主に40歳以降運動不足で内臓に脂肪が
   蓄積する生活習慣病です。
 内臓脂肪型肥満(内臓肥満・腹部肥満)に高血糖・高血圧・高脂血症のうち2つ以上を
  合併した状態を言います。

 近年、食生活の変化や交通手段の進歩により、運動不足や食べ過ぎなど、身体に負担がかかる習慣が影響して、
 コレステロールや中性脂肪の異常、軽度の糖代謝異常や高血圧、肥満を併せ持つ人は、動脈硬化症が進みやすく、
 また、脳梗塞、心筋梗塞、下肢閉塞性動脈硬化症(足の壊疽)などが起こりやすいと言うことが分かってきました。

診断基準
 腹部肥満
  腹囲男性85cm以上女性90cm以上
     (ただし、腹部CT撮影等により内臓脂肪面積を精密に測定することが好ましい )
 上記に加え以下の4項目のうち2項目以上
  高血糖      空腹時血糖110mg/dL以上
  高血圧      収縮時血圧130mmHg以上か拡張期血圧85mmHg以上
  高脂血症     中性脂肪150mg/dL以上か、血清HDLコレステロール値40mg/dL未満

肥満のタイプ
  内蔵脂肪型肥満(リンゴ型肥満)
   男性や更年期以降の女性に多く、お腹のまわりや上半身が、太ったビヤ樽タイプ
   お腹の中身がパンパンに詰まって、皮膚の伸びきっている状態。
   つまんでも、ちゃんと皮膚と脂肪をつまむことができません。 
   そうした状態の場合は、「内臓脂肪」がたまっている可能性がありますので、要注意です。
  皮下脂肪型肥満(洋ナシ型肥満)
   女性に多く、お尻や太股に肉が付く下半身肥満と言われるタイプ
   お腹の周り、わき腹、腰の周りをつまんで、指でたっぷりとつまめるのは、「皮下脂肪」です。

  女性は男性よりも内臓脂肪が貯まりにくく、比較的メタボリックシンドロームの危険性は低いともいえます。
   しかし、女性の場合は更年期を過ぎ、閉経を迎える頃から、注意を要します。
   閉経すると、女性ホルモンの分泌量は激減し、内臓脂肪が貯まりやすい体質になる為です。

糖質・タンパクは、1gで4kcal、脂肪は1gで9kcalのエネルギーが出る。そのため脂肪で蓄えられる。
 人類の歴史は、飢餓との戦いで、いつもエネルギーが、足らない状態で有ったので、
 エネルギー貯蓄能を持った人が優れていたが、現在は、逆になってしまった。
 
肥満の判定方法
   医学的に
   「肥満とは、単に体重過多を指すのではなく、身体を構成する成分のうち、
          脂肪組織の占める割合が異常に増加した状態」
と定義づけられています。
   体重が同じでも、スポーツなどで体を鍛えて筋肉の多い人と、
   そうでない人の体脂肪率が同じであるはずはないのです。
   体重を重くしているのが、筋肉や骨であれば、その人は肥満と判断されません。

  体重による判定(日本肥満学会の判定基準)
   BMIBody Mass Index)
    体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)=BMI指数

    やせている  普通    太りぎみ   太りすぎ(肥満)
     20未満    20〜24   24〜26.5   26.5以上

  体脂肪による判定
   体内に蓄積された脂(あぶら分)を体重で、割った値
    BIAによる測定方法
     体内に微弱な電流を通して体の電気抵抗を測定し、脂肪の割合を導き出す方法です。
     人の体のうち、筋肉は水分を多く含み電気が通りやすく、
      脂肪は水分を含まず電気を通さない性質があります。
     電気抵抗(インピーダンス)を測る事で、脂肪以外の組織量(除脂肪量)を求め、
     体重から差し引くことで、脂肪量を求めます。

    体脂肪率 正常範囲 肥満
      成人男性 15〜20% 25%以上
      成人女性 20〜25% 30%以上

  体脂肪分布による判定
   内臓脂肪面積100cm以上

メタボリックシンドロームの予防
「一無・二 少・三多」とは、
 (一無)
       ・禁煙    たばこを吸わない
 (二少) 
       ・少食    食べすぎない:20代の時の食事より量を減らす
       ・少飲     飲酒は日にビールで1本以下:アルコール量20g以下
 (三多)
       ・多動    生活の中で運動をよくする:週に1回以上の運動
       ・多休    休養・睡眠をしっかりとる:仕事をしない日が月に6日以上
        ・多接    多くの人・物・ことに触、充実した毎日にする:打ち込める趣味あり
以上6つのいい健康習慣のこと。
2005年、この6つの健康習慣のうち一つでも実践している人は、
 動脈硬化や脳卒中を予防出来ることが証明された。