平成24年 新年講習会
日時 平成24年1月5日 PM2:00〜4:30
場所 万葉ホール

関節の痛みー変形性膝関節炎の治療
   奈良県立医科大学 整形外科 上松耕太

ひざの痛みをもたらす疾患としては、
1.変形性膝関節症は中高年以上の方では、最も頻度が高い。
  膝関節の軟骨がすり減り、関節炎や変形を生じて、痛みなどが起こる病気
2.関節リウマチなどの炎症性の疾患。
3.ひざの周辺の骨折や、靭帯や半月板を傷めた外傷。

 正常
  膝関節では関節の表面は軟骨で覆われていて、
  その軟骨は、衝撃を和らげたり、関節の動きを滑らかにする。
 変形性膝関節症(初期〜中期)
  初期の場合、軽度の関節軟骨の磨耗が生じるが、自覚的な症状はほとんどない。
  中期になると、膝の曲げ伸ばしや立ち上がり、歩行時の膝にかかる負担の増加と、軟骨、半月板の
  変性が原因により、関節炎が生じる。
 変形性膝関節症(進行期)
  軟骨の磨耗がさらに進み関節の土台の骨(軟骨下骨:なんこつかこつ)が露出したり
  骨棘(こつきょく)といった骨そのものの変形が生じたりする。

変形性膝関節症の症状は、
 @膝を動かしたときに痛みが起こる
     (動作時痛)
 A膝の曲げ伸ばしがつらくなる
     (可動域制限)
 B膝に水が溜まる (関節水腫)
 C膝の裏の痛み(膝窩部痛)
   腰から来る場合が多い
 D膝蓋骨上方の痛み
   股関節の症状は?指が3本入るとO脚 
   どんどん進む(特に女姓)







 治療方法
  薬物療法
   ヒアルロン酸ナトリウムの関節内注入
    (ステロイド併用)
    感染予防のため、注射当日、入浴は禁止。
    また、注射部位は触れないこと。
   ステロイド製剤
    プレドニゾロン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、
    リン酸デキサメタゾンナトリウム等々
   非ステロイド性抗炎症薬
    胃腸障害に注意
    アスピリン、メフェナム酸、イブプロフェン、ナプロキセン、チアプロフェン、インドメタシン、
        ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム、スリンダク、ピロキシカム等々
   温布、軟膏
   オピオイド(疼痛治療)
    ・オピオイド配合物 トラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠     ー
    ・拮抗性オピオイド ブブレノルフィン                      向精神薬
                 ペンタゾシン                        習慣性医薬品
    ・弱オピオイド    コデイン1%                         ー
                 コデイン10%                       麻薬
                 フェンタニル                        麻薬
    ・強オピオイド    モルヒネ                           麻薬
                 オキシコドン                        麻薬
   グルコサミン

  運動療法



 装具療法



 手術療法
 鏡視下デブリドマン    O脚が軽度・関節破壊軽度
 

 高位脛骨骨切り術    O脚が中等度・関節破壊中等度







 人工関節置換       O脚が高度・関節破壊高度
   比較的早期に痛みが取れる。下肢の状態が正常になり歩行しやすい。
   術後成績は改善され、耐久年数も15〜20年
   欠点は、感染症・下肢静脈血栓症