イカリソウ

 

本州では、東北地方以南の太平洋側から四国に分布し、丘陵や山すそなどの木陰に自生する多年生草本。茎は数本束になって生え、高さ15〜25cm、葉は2回3出複葉で、小葉にはやや長い小柄があり、卵形で先は鋭突し、刺毛状の細い鋸歯があり、基部は心臓形である。4〜5月頃に4弁の花を下向きにつけ、花の色は白色、薄クリーム色、淡紅色、淡紫色があり、その花の形が「錨」に似ることからイカリソウと名付けられた。冬には葉は枯れるが、日本海側に多いトキワイカリソウは常緑である。インヨウカクは中国産のホザキイカリソウなどに付けられた漢名であるが、日本産の各種も生薬名はこの名で呼んでいる。李時珍の『本草綱目』(1590)には「四川の北部に淫羊という動物がおり、1日に百回も交尾する。それはこの草を食うためで、このことからこの草をインヨウカクと名付けた」とある。
【 学 名 】
イカリソウ Epimedium macranthum Morr.et Decne.var violaceum Franch.
 バイカイカリソウ E.diphyllum (Morr.et Decne.)、
 トキワイカリソウ E.sempervirens Nakai、
 キバナイカリソウ E.cremeum Nakai、
 ホザキイカリソウ E.sagittatum (Sieb.et Zucc.)Maxim.
【 科 名 】
メギ科(Berberidaceae)
【生薬名】
インヨウカク:EPIMEDII HERBA

 Epimedium属植物の葉または全草を乾燥したもの。
中国のものはホザキイカリソウを、日本ではイカリソウなどの同属植物を用いる。

【使用部位 】
葉または全草
【 適 用 】
漢方では補精薬で強壮、強精薬として、インポテンツ、不妊、腰膝軟弱、倦怠感、健忘症などに用いる。
【 成 分 】
イカリイン:icariinなどのフラボノイド配糖体、アルカロイドのmagnoflorineなどを含むが、強精成分かどうかは不明。
【漢方処方例】
二仙湯、羊カク桑寄湯など
【採取時期 】
5〜6月頃
【調製法 】
地上部の葉茎を刈り取って日干しにし、乾燥させる。