平成22年3月度例会   (大阪府計量士会)

日時 :H22年3月2日 PM13:30〜16:30
場所 :薬業年金会館 401,402

T.会務報告
  会長からH21年12月2日から本日までの開催された報告がなされた。
  また、会員の移動報告(A会員90名、B会員62名、賛助会員8)
  
U.議演
  「電子血圧計等の作動原理及びユーザー向け企業活動のご紹介」
         オムロン松阪株式会社 生産品質グループ 坂詰 正義
 電子血圧計        
  1.医療用測定器の回路構成

        生体情報                      制御部          表示部
    生体情報
    検出センサ → 増幅                             →  液晶表示機
        物理情報                   →  記憶回路
    物理情報                                     ←
    検出センサ → 増幅                             
                                               →  スイッチ
                                                   電源/測定 ↓
                         → 電源回路  →乾電池

  2.検査工程

 3.血圧
  血管壁が押される力のことで、心臓から送り出される血液の量(心拍出量)と、血管の硬さ(血管抵抗)によって決まる。
  ・一般に動脈内圧力
  ・心臓の収縮と拡張
   最高血圧(収縮期血圧)
   最小血圧(拡張期血圧)
   心臓は、収縮と拡張を繰り返すポンプのような働きをすることで、血液を送り出している。
 4.血流(量)
  動脈を流れる血液の量の事
  一般に血圧が高くなると、血流も増加するが、局所的には血圧よりも血管抵抗に依存する。
 5.高血圧
  血圧が正常範囲を超えて高く維持されている状態。
  (収縮期血圧と拡張期血圧のいずれかが診断基準を超える)
  高血圧自体の自覚症状は何もないことが多いが、虚血性心疾患、脳卒中、腎不全などの発症リスクとなる点で
  臨床的な意義は大きい。

 6.加齢と血圧の関係
   日本人の平均血圧値(参考値) 高齢になればなるほど高血圧の傾向
     
 7.高血圧の分類          

 本態性高血圧(原発性高血圧)   二次性高血圧
 発生頻度  90〜95%    5〜10%
 

  原 因
不明
遺伝因子と生活習慣が複雑に
絡み合って発生
明らかな原因疾患があって生じる高血圧・大動脈縮窄(だいどうみゃくしゅくさく)
・腎臓の異常
・ホルモンの異常
・薬物・その他
  治 療  正常血圧の降圧
 (生活習慣の改善)
 病因の除去

           



 






 8.血圧測定
  @世界最初の測定
    1733年 牧師さんで Stephen Hales (1677〜1761)が、黄銅管を馬の頚動脈に差しこみ、
    これと垂直に立てたガラス管をガチョウの気管で接続し、ガラス管に侵入する血液の高さを血圧と定めた。
    この時、血液が 2.7mも上昇し、驚いた。その後 人での血圧測定が試みられましたが 
    馬でのHalesの方法は使えなかった。(そら痛いやろ!!)

  A直接法


  B間接法
   コロトコフ法(血管の音を聞いて測定する聴診法)
    1905年にロシアの軍医ニコライ・コロトコフが、上腕に巻いたカフ(腕帯)で動脈を圧迫し、水銀柱(腕帯圧力)を
    見ながらカフを減圧したときに生じる血管音(ニコライ・コロトコフにちなみ、コロトコフ音と呼ばれる)を聴診器で
    聞き取りながら血圧を測定する方法で、一般の病院で使われる水銀式血圧計等がある。
   オシロメトリック法(血管の圧力を捕らえて測定)

    カフに伝わる血管壁に生じる振動(脈動)を圧力センサーで検出する。

  C腕帯の構造
    シングル構造(一般普及タイプ)
     風船状に丸く膨らんで、全体の幅に対する動脈密閉距離が短い。
    Σ型構造(高級タイプ)
     2つの空気層が重なっていて平面に近い状態で圧迫出来るので、全体の幅に対する
     動脈密閉距離を大きくとれる。
    種類


  D血圧計の種類
    アナログ
     ・水銀式
     ・アネロイド式
    デジタル
    ・家庭向け
     上腕式   手動加圧式、自動加圧式(プリンター・スポットアーム式)
     手首式   自動加圧式
    ・医科向け  自動加圧式(HEM906,HEM907) 

   E血圧測定時の圧力制御
     圧力を上げる→→ゆっくり下げる→→急速に下げる
     <ポンプ>    (微速排気弁)   (急速排気弁)
 

 F圧力センサー 

  メカ式(3S5Y) 半導体(2SCP−10)
  サイズ     大     小
  コスト     安い     高い
 搭載機種   上腕式血圧計   手首血圧計

      3S5Y
 
    圧力が加わるとダイヤフラムが上に押しやられA可動電極が動く

 F排気弁の種類  

 減圧測定方式  減圧測定方式  加圧測定方式
 コントロール弁    ゴム弁   電磁弁
 品 番 2VCMS-A01 ゴム弁 TDS-V05BLー713
 特 徴 高度な減圧制御

エアを徐々に排気していく
排気測定量は電圧制御
単純な構造
エアを徐々に排気していく
高圧時は、流量小
 低圧時は、流量大
細かい制御は出来ない
単にエアーを封印

流量の制御はせず
ON/OFFのみ
 コスト     高い     安い    安い

 Gポンプ
  DCモーターを駆動、クランク方式または、ローリング方式でポンプを圧縮
   HEM-757 HEM-642 HEM-650
 H精度
  
   圧検出精度
    誤差<±3mmHg   → 実使用上の誤差要因 →実用精度
   血圧算出精度

 I誤差要因
  

Q&A

@圧力とセンサーの器差は?
 (A)オシロメトリックは、血管の圧力を捕らえて測定するので器差は少ない。
    また、再現性(同じ人は同じ値)がいい。
Aカフの性能比較測定は?
 (A)測定方法は、長さ・幅・腕の太さに対して、病院で使われているカフと同等の圧迫力を基準にして、
    差を検証。ただ大きめのカフの方が差が少ない。
B血圧計の検査
 (A)特殊な治具を使い、基準器とつなぎ差を見る。
Cダブルカフの効果は、
 (A)?
    カフ圧力を自動的に加圧する際、重なったカフどうしの擦れによるノイズの発生を抑制し、
    カフ圧力の自動加圧の信頼性を向上させるため。