体温計
                                          
人の体温は37℃前後の比較的狭い範囲で調整・維持されている。
しかし、この温度範囲に調整・維持されているのは、体の中でも脳や胸部、腹部などの深部臓器と
言われる部分の温度だけで、その他の手や足などは、外温の条件(暑さや寒さ)により、変動する。

1.体温調整機能
  脳の中になる体温調整中枢が、体の中で作られている熱(産熱)と、体の表面から
  出ていく熱(放熱)のバランスをコントロールする。

2.核温(=体温)
  脳・内臓臓器・大動脈血など、体の深部の温度で、ほぼ一定(36.5℃付近)に
  保たれている。

3.外殻温(がいかくおん)
  手足の部分は外の温度変化により、変動する。

4.測定場所
  耳(1〜10秒) 口(5分) わき下(10分以上) 直腸(3〜4分)
  測定する部位ごとに検温に必要な時間や方法がことなり、得られる温度も異なる。
  そのため測定部位によって平熱が違う。

5.測定方法による体温計の種類
  @水銀体温計
   水銀の持つ熱伝導と膨張を利用している。

  A電子体温計
    ・実測式 温度センサー(サーミスタ)により、体温測定
    ・予測式 血管から皮膚までの熱の流れを測定し、瞬時に体温に変換
          検出温度の上昇カーブから短期間で平衡温度を予測


  B耳式体温計
    温度センサー(サーモバイル)が鼓膜から発せられる赤外線の放射量を感知しそれを体温に変換
   ・耳で測る意義
    体温調整中枢の温度をよく反映するので鼓膜温度は、外気温の影響を受けにくい特徴があり、
    鼓膜の温度を捉えることでほぼ正確に体温を測定できる。
   ・特徴は、測定時間の短縮
    従来の熱伝導式では、体温計に体温が伝わるのに10分ほど時間が必要だったが、
    この方式では、1〜10秒で測定可能
  
   MC-510は、従来型に比べて熱が早く伝わり、サーミスタ1と2で温度補正する。


    ・校正装置
    入射される赤外線をすべて吸収する物体
    黒体は又その温度だけで決まる放射エネルギーを放出し、その値は黒体以外のどの物体よりも大きい。
    放射率:同じ温度の物体と黒体との同じ波長の放射に対する放射発散度の比
    反射率:物体から反射された放射エネルギーと物体に入射する放射エネルギーとの比
     
6.ドローダウン現象と電子体温計の性能
  温度勾配がなくなった時点(約3分程度)で、お知らせブザーが鳴る →目安としては確認
  このときの表示量は、10分値(腋で測定する場合の基準値)に対してー0.2〜0.4℃程度低めになる。

7.測定原理