闇の中の祈り
【登場人物】
エルフィール・トラウム … 錬金術師
ダグラス・マクレイン … 聖騎士
マルローネ … 錬金術師
リリー(・モルゲン) … 錬金術師
ウルリッヒ・モルゲン … 冒険者(?)
エンデルク・ヤード … 聖騎士隊隊長
アニス・リュフトフェン … 錬金術師
サイード・ラーウィー … 冒険者
ブレドルフ・シグザール … シグザール国王
シュワルベ・ザッツ … 冒険者
ハンス … 聖騎士(オリジナルキャラ)
アイゼル・ワイマール … 錬金術師
ノルディス・フーバー … 錬金術師
ルーウェン・フィルニール … 冒険者
ミュー・セクスタンス … 冒険者
その他
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(順不同。登場の割合、早さにも関係ありません。徐々に増えます。)
〜プロローグ〜
まさか、こんなことになるなんて、思ってもいなかった。
こんなことになるくらいなら、彼に、伝えたいことがあったのに。
二度と会えなくなるかもしれないなんて、そんなこと、考えたこともなかった――。
「ダグラスさん! ダグラスさんは、どこですか!?」
ザールブルグの中心地である王城前広場。
王室騎士団がその名にかけて、守護するこのザールブルグにおいて、最も安全とされ、善良な市民たちがゆったりと過ごす憩いの場に、今までの穏やかな雰囲気を一掃する、尋常でないほどに怯えと焦りに支配された女性の声が響き渡った。
彼女は、城門を警備する聖騎士の一人――ハンスにすがりつくようにして叫んでいる。
顔は青ざめ、その小さな身体は、小刻みに震えていた。
さらに、よくよく見ると、その女性は、土に汚れ、擦り傷や切り傷を負い、服も所々切れたように破れかけている。
ハンスも、その様子に何か非常なる事態が起きたのだという事がわかり、とにかく話を聞くために、女性を落ち着かせようとした。
「お嬢様! とにかく、落ち着いてください!!」
そのとき、その女性の後を追うように、南国出身と思われる、浅黒い肌をした青年が駆けよってきた。
彼もまた、泥だらけの服をしており、女性よりもさらにひどい怪我をしているように見えた。
「落ち着いてなど、いられません! エリー先輩が――!!」
あまりの興奮状態に、酸欠でも起こしたのか、女性はクラリと体勢を崩しかけ、駆けつけてきた男の腕の中に倒れかかった。
「お嬢様!!」
「とにかく話を聞きたい。中へどうぞ。医務室を使ってください。」
ハンスは、冷静な態度を崩さないように務めながら、彼らが話すであろう非常事態に対する緊張感が高まるのを感じていた。
【To be continued】