中医学研究会(H22.1.11)
五臓(肝、脾、心、肺、腎)の弁証論治 上海中医薬大学 黄 懐龍先生
西洋医学と東洋医学の補完 吉井伸光堂 吉井 忠先生
1.麻黄湯と葛根湯の使用上の違い
麻黄湯は、
ふしぶしの痛む初期のかぜに効果がある。(麻黄湯エキス顆粒大峰)。
熱がこもっている場合に使用する。
ツムラの麻黄湯は、
悪寒、発熱、頭痛、腰痛、自然に汗の出ないものの次の諸症。
感冒、インフルエンザ(初期のもの)、関節リウマチ、喘息、乳児の鼻閉塞、哺乳困難。
麻黄(まおう)、桂皮(けいひ)、杏仁(きょうにん)、甘草(かんぞう)を含み、
体力のある実証の人向けである。胃腸薬と合わせて飲むのが効果的
・麻黄と桂皮は発汗・発散作用をもつ生薬で、病因を発散して追い出すような働きがあり、
既に、汗が出ている時は、避けた方がよい。
また、麻黄には、エフェドリン類が含まれ交感神経を刺激するので、気管支拡張薬作用を示し、
咳や喘鳴(たんめい)をおさえる。
・杏仁は、鎮咳・去痰作用
・甘草は、痙攣を治す。副作用防止。鎮痛、鎮咳、去痰、解熱、消炎、鎮静、健胃、強壮。
有効成分のグリチルリチンは、抗アレルギー作用もある。
葛根湯は、
かぜの初期症状、鼻かぜまたはかぜによる頭痛若しくは肩こり(葛根湯エキス顆粒)
葛根(かっこん)・麻黄(まおう)・桂皮(けいひ)・芍薬(しゃくやく)・甘草(かんぞう)・大棗(たいそう)・生姜(しょうきょう)
を含む。
麻黄湯に、葛根・芍薬・大棗・生姜が追加され、杏仁が削除された処方で
傷寒と温病の中間型にも用いることができ、適応が幅広く使える。
・葛根は、身体表面の血液循環を促進して熱を解する。また腸管の収縮運動を増強し、排泄を容易にする。
・麻黄と甘草を組み合わせると、咳嗽を癒し、身体表面の緊縮を緩和する。
・芍薬は消化管の機能を増強するほか、強壮作用も有する。
・生姜、大棗、甘草は、消化器にあたる脾の働きを高め、血行を助ける。
また、ビタミン剤と合わせて服用すると効果があがる。
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